「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ

隠れロッテファン

臼井 淳一 


 31年前の日本シリーズに後楽園球場に行ったのは、何時だったのかはもう忘れました。覚えていることはロッテが中日に負けたということです。

 当時、ロッテは金田監督でした。私は金田監督のパフォーマンスが楽しく面白く、すっかり魅了されてしまいロッテファンになりました。それに川崎球場はこどもの頃から大洋ホエールズ(現・横浜ベイスターズ)の試合をよく見に行った球場でした。

 熱狂的とまではいきませんが、年に数回は川崎球場にも行きました。まだ小さかった二人のこどもは、ガラガラな内野スタンドでロッテからいただいたお菓子を食べながら遊んでいました。

 31年間優勝から遠ざかり、再下位、Bクラスが何十年間も続くうちに、ロッテファンであることを人前で話すことを止めました。

「臼井さん。プロ野球どこを応援しているの。えっ、ロッテ? ロッテのファン初めてみたよ。やっぱり変わっているね」。
 この一言で私は「隠れロッテファン」になりました。

 千葉に移ってからはますます足が遠ざかり、東京ドーム、神宮球場のチケットが手に入っても球場には行きませんでした。

 ここ数年バレンタイン監督になり、選手が伸び伸び野球をやっていると思うようになりました。

 今回のプレーオフの西武、ソフトバンクとの試合をインターネットやテレビで見ていますと、若い足の長い、スタイルのいい選手が「格好」よくプレーしています。また、積極的に初級のストライクは打っていました。回の前半では送りバンドなどはやらず、点を取られたら取り返す野球をやっていました。

 阪神との日本シリーズでも、若い選手が「野球を楽しんでいます」という言葉が何回も聞かれました。楽しむことはスポーツの根幹であると思います。

「楽しむ」ことより「勝つことだけ」の日本野球のあり方に、バレンタイン監督が「チーム変革」した結果が、楽しむ野球と同時に強いチームを作り上げたのではないでしょうか。

 9人のレギュラーで戦う「戦法」に見慣れた私には、毎日のように変わるオーダーには「新鮮さ」を感じました。守備のいい、足の速い選手を起用するのには、どこかのチームのように「四番バッター」を並べて勝てない野球は完全に「脱帽」だと思います。

 阪神にも巨人にも、他のチームにも素質のある選手は多くいます。だからプロ野球に行けたのです。条件はまったく同じでないでしょうか。

 来年、楽天の監督になる野村氏は「勢いでだけで勝ったロッテ」などとトンチンカンなことを言っていますが、こういう古いタイプの「独自の野球哲学」を持った野球人はもうプロ野球では通用しないと思います。

 プロ野球はお金を払って「夢を売る商売」です。野球場に行っておもいっきリ楽しめることが大事です。そんなプロ野球集団がロッテです。

 2005年10月26日からは「隠れロッテファン」が多く出てくるでしょう。

(2005年10月26日 ロッテ日本一になる)



「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ