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ボール変更と「認識」

臼井 淳一 


新球の威力

本日の試合で木製バットがまるで硬球に当たったような折れ方をしました。

まず音が「グシャー」ではなく「バキーン」という音です。3片に折れました。1片はショートへ、1片はベンチ方向、1片は球審の後方へ飛び散りました。

永いこと審判をやっていますが、軟式のバットがこのように折れるのを初めて見ました。普通、木製軟式バットは竹を割ったような感じで折れます。バットがこのように折れて飛び散るようなことはめったにありません。3片に折れたとは新球の威力は脅威です。

大切な軟式用「木製バット」を使う人は要注意です。



新球の飛距離

両翼95メートルのグランドで新球を使用した試合です。約5メートルのフェンスを楽々と超えていきました。また、ファールボールがスタンドに入らず場外へ飛んでいきます。(狭い公園のグランドは人身事故が心配です)

また、大井海浜公園B面のフェンスは高いのですが、フェンス付近に落ちたボールはバウンドが大きく弾みフェンスを超えていきます。

新球はスローボールを投げる投手は、外野フライで討ち取るのが難しくなりました。

いずれにしましても狭いグランドでは、投手は不利でしょう。また野球の面白味も狭いグランドでは半減すると思われます。



新球での審判の体験はまだ20試合程度ですが、心配なことを書いてみます。

現在、使用している軟式ボールは、一般的に「ゴムボール」と言われてきました。このボールで選手が大怪我をした例は、硬式ボールに比べて大幅に少ないと思います。なんと申しましょうか、当たってもあまり痛くないことは「野球未経験者」にとっては、とっつき易いとボールだと思います。

今回のボール変更で一番心配されることは、従来のボールと比べて「当たると痛い」と言うことです。これは私も含めまして複数の審判員が体験しております。審判員が「当たると痛い」ということは選手の皆様はもっと痛いということです。

『楽しい野球』『素直によく飛ぶボール』
★変化球が投げやすく、遠投しやすく、打てば遠くへ飛ぶボール!

とメーカー側は宣伝していますが、従来のボールと比べて「人体への衝撃度」については、具体的にデーターは公表しておりません。メーカーとの会話では「従来と変わらない」と言っております。

私たち軟式野球愛好者は、なかなか広いグランドではプレーできません。グランドによっては両翼75m〜80m。また、フェンスがない。あってもファールボールはすぐに外へ出てしまう。また、一箇所で4面のグランドでは、ショートとライトが近距離で背中合わせの守備をしています。そういうグランドでのプレーが多いと思います。

ついでに珍事を紹介しておきます。ある審判員から聞いた話です「対面のグランドで打ったボールがなんとこちらの打ったボールと当たった。こんなことがありえるのか」。
また、ある選手から「後ろから頭にボールが当たり、一瞬気を失った」。これは珍事では片付けられません。両方とも潮見野球場での出来事です。

一昨年、ファールボールがプールに落ち、幼児に大怪我をさせたことがあります。また、軟式ボールですから「大事に至らなかった」例は多くあります。

今回、ボール変更で心配されることは、従来のボールと比べて「当たると痛い」、「打てば遠くへ飛ぶ」の2点です。この2点のボール変更によって、いままで「大事に至らなかった」ことが通用しなくなる恐れがあると思います。

いずれにいたしましても、従来の軟式ボールはメーカーでは生産しません。プレーをする皆様方は、従来の軟式ボールと違うのだという「認識」をもっていただきたいと思います。

また、「ヘルメット」着用をしていないチームは、事故が起きてからでは遅いので、ボール変更を機会にヘルメットをしてください(ヘルメットの宣伝ではありません。笑い)。

『楽しい野球』『素直によく飛ぶボール』
★変化球が投げやすく、遠投しやすく、打てば遠くへ飛ぶボール!
メーカーの方へ ぜひ皆様方でも「人体実験」をしてください。

できることなら「ボールの注意書き」にこう書いてください。
「このボールで試合をする時には、両翼90メートル以上の囲いのあるグランドで使用してください」と。
さらに「旧球も皆様の要望があれば生産・販売いたします」と。

(2005年10月15日)



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