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◆ 我ら、高校野球ファン ◆

RISE


 日曜日、甲子園を賭けた決勝戦!大応援も虚しく、我「高知高校」は「明徳義塾」に破れてしまいました。決勝戦まで無失点で勝ち上がってきたのですが、大きな壁を崩すことはできませんでした。先輩達は「次は絶対に勝ってくれ!」と後輩達に言い残し、高校野球にピリオドを打ったのでした。
 負けたとはいえ、とても清々しさが感じられ、試合も好印象の持てるナイスゲームでした。

 そういう中で、とてもいやな思いをしたのが、勝った「明徳義塾」に対して罵声を浴びせる輩がいるということです。決勝戦ともなると、学校関係者以外に高校野球ファンがたくさん観戦にやってきます。高知は野球好きがいっぱいいます。なぜ、罵声か?理由はひとえに、彼らは「明徳」が嫌いだからです。

 高知県は島国です。そして田舎です。島国根性とでもいいましょうか、「よそ者」を警戒するのでしょうね。でも、この国がすきなのですね。そしてとにかく、口が悪い! 一昔前まで、高知県の高校野球は「三強」と呼ばれるチームでまとまっていました。「高知商業」、「土佐高校」、「高知高校」この三つです。野球王国「土佐」なんていわれていた時代もありました。とにかくこの三校は現在でもとても人気があります。

 そんな高知に、15年ほど前に新しい学校ができました。それが今の「明徳義塾」です。スポーツにとても力を入れた私立の中、高学校です。最近では、Wカップにも出場した、サントス選手、名古屋場所で優勝した大関朝青龍が有名な出身者です。野球では、河野(元巨人)や寺本(現ロッテ)ぐらいでしょうか、あまりいませんね。

 ここ10年ぐらい「明徳義塾」の野球部が頭角を表し、ぐんぐん強くなりました。もう今では、「一強」といっても過言ではないでしょう。ではなぜ、そんなに急に強くなったのか?監督さんのおかげとは、誰も思ってなくて、県外からわざわざスカウトしてきた、優秀な子供達の力だ、と思っています。確かに、レギュラー組には県出身者は一人もいなく、100人以上いる部員の中かに果たして1割いるでしょうか・・・いないのでは?

「明徳」はもはや高知の学校ではないという意識が根強く漂っています。確かに、東京や大阪、兵庫など、甲子園のキップを手に入れるのは大変な競争の中、
勝ち進まなければなりません。でも高知のような田舎ではそれほどの競争力はいりません(学校の数が少ない)。まして今の「明徳」なら甲子園出場は90%以上の可能性を秘めています。県外の子供達も「明徳に入ったら甲子園はまちがいない」という意識を持ってきました。そして、学校側も優秀な子を選別できる、ということになります。

 また、高知の中学は軟式野球で、リトルリーグがないに等しいのです(1チームあるかな)。だから、県内の子供達は硬球を持つのは高校に入ってからなんです。その差もあるのでしょうかね? ですから、我県の甲子園代表校に対して、罵声が飛んでくるのです。彼らには「明徳」は、もはや「よそ者のチーム」なのです。そして、最近では「21世紀枠」なんて、地元意識を持たせるチームに白羽の矢が立つようにもなりました。ますます彼らは「明徳」が嫌いになりました。かくいう僕も少なからず、その気持ちはあります。でもそれは「ゲームで倒せ」という思いです。

 我子が少年野球から始め、甲子園を狙えるまでに成長した。この過程における、期待や苦労は我々も、「明徳」の親達も、そして子供達も同じなのです。僕も子供が野球をやってなかったら、罵声を浴びせた一人だったでしょう。親元を遠く離れ、目標に向かって厳しい練習に耐え、競い合う球児達に罵声なんて、
とんでもないことです。敬意を表すべきです。

 竜馬がいたら、「おんしら、明日から神聖なべーすぼーるを見にくな!」というでしょうね、きっと。
 明徳ガンバレ! 夏は優勝だ!

(2002 7・30)



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