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◆ 青春の涙 ◆

臼井 淳一


 江夏豊氏(プロ野球解説者)が朝日新聞のコラム「スタンド」こんなことを書かれていました。
 『自分にとって、高校野球は、いくつになっても「夢」。甲子園は「あこがれ」。……高校野球も、プロ野球も、草野球も、みんな原点はいっしょですよ。正しい投げ方で、正しい受け方をして……』。
 とても重みのある言葉です。

 そのコラムを書かれている新聞をもって7月25日、明治神宮球場に行ってきました。カードは帝京―正則学園、安田学園―高 輪、二松学舎大付―明 治。3試合を朝9時から夕方6時まで見てきました。

 高校野球で一番好きなのは「エールの交換」です。5回コールド、7回コールドでもきちんとエールを交換します。特に負けたチームを見ていますと胸がジーンときます。3年生は最後の夏になるわけです。3年生はうなだれベンチで泣いております。控え室では3年生は豪泣するでしょう。

 そして涙をふいて、父兄、関係者が待つ場外へ。拍手の中を照れ笑いして出てきます。中には3年生を1、2年生が一人づつ「胴上げ」しているチームもいます。
 そばで見ている3年生の父兄がそっとハンカチを眼に当てています。
 「青春の涙」が少なくなった昨今。高校野球は私たちにとって「涙」とは。改めて考えさせられる光景です。

 神宮球場には、お年寄りと若い人たちがいりまじっていました。これは「高校野球」にしか見られない不思議な光景です。
 10数年前に息子が投げて勝った「明治神宮・本球場」。
 ここに来られている人たちは「想い出」がそれぞれですが「夢を見た。夢を見させてくれた」。そんな思いが高校野球にはあるのではないでしょうか。

 バックネット裏で2試合見学し、いろいろお話した人は、3試合目の二松学舎大付―明治が始まると、明治の応援席に移動しました。わたしもさりげなく二松学舎大付の応援席に移動しました。この人は明治を応援にしにきたこと。わたしも二松学舎大付を応援にしにきたこと。最後まで話しませんでした。

 負けた明治の「エール」を最後まで聞き。神宮球場を後にしました。

(2002年7月25日)



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