「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ


◆ 野球の原点を考える ◆

首都圏サタデーリーグ会長  臼井 淳一



 昔、昔アメリカで野球が生まれた時は、四死球もなければ三振もありませんでした。ボールがバットに当たりゲームが成立しました。

 聞いた話ですが、打者が投手に「ここのところに投げろ」「たかいボールを投げろ」「低いボールを投げろ」と指示して、ボールが打者の思うところに来ないと「お前は投手ではない。替われ」といわれたてそうです。野球はバットでボールを打つことから始まったスポーツ(ゲーム)です。

 私が昔、少年野球のコーチをやっていたころのお話ですが。佐藤学という子供はとてもバットにボールを当てるのがうまく、よく豪快なヒットを試合で打ちました。
 その子が5年生になり、別のコーチから「佐藤! お前はストライクもボールも分からないのか。そんな高目の球には手をだすな! こんど高目のボールに手を出したらケツバットだ!」と何回も言われて、3年、4年の頃の豪快なスイングが見られなくなってしまいました。

 私は「少年野球は、ボールを打つ楽しさを子供たちに体験させることが大切ではないか、ボールを当てるいい素質をもっている子供には、自由に打たせたらいい」と言い、このコーチとは意見が対立しました。
 このコーチが言うには「自分は中学、高校と野球をやってきて、一球も自由に打ったことがない。監督・コーチの指示で打った。野球は結果を出せばいいのだ。自分は出した。自由に打たせるなんてダメだ」と結局私の意見はとおりませんでした。

 佐藤学は中学では野球部には行きませんでした。15人いた同学年で中学、高校と野球をやったのは2人だけでした。私の息子と補欠の子供でした。やはり少年野球の指導者として寂しかったです。

 バットでボールを打つ楽しさ、四死球を選ぶ楽しさ、単純な質問ですがどちらが楽しいですか。
 野球は、けっして単純なスポーツではありません。が、野球の原点はバットでボールを打つことではないでしょうか。

2001年2月



「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ